資産運用に関する用語集 ヘッジ・ファンド関連

【平成28年8月23日現在】

用語 用語説明 記号
CTA ヘッジファンドの一種で、Commodity Trading Advisorsの頭文字を取ってCTAと呼ばれる。元々は、世界各国の商品先物市場を主な投資対象とする投資顧問業者を指した言葉。CTAには大きく分けて4つの運用手法があり、中でも一番多いとされるのが「相場のトレンドに追随して売買を積み上げるトレンドフォロー型」で、ヘッジファンド業界ではマネージド・フューチャーズと呼ぶ。 HF01
FoF 複数の投資信託(ファンド)に投資する投資信託。Fund of Fundsの略。 HF02
LTCM Long Term Capital Management社。米国の有力ヘッジ・ファンドの一つだったが、誤ったモデルへの依存、極端なレバレッジ、世界的に起こった質への逃避によって1998年(平成10年)に破綻、公的救済を受けた。 HF03
NAV 純資産価額。時価総額を意味するが、ファンド(投資信託など)の一口当たりの基準価額(売買単価)を表すことが多い。Net Asset Valueの略。 HF04
アービトラージ レラティブ・バリューの一種。裁定取引。株式・転換社債・国債・社債・モーゲージ債券など複数の有価証券(や商品)間の価格差収斂がその有価証券間の理論上の均衡点へ向けて起こるという前提でロングとショートのポジションを組んで裁定を狙う運用。Arbitrage。 HF05
アーブ アービトラージの略。複数の資産間に理論値以上の価格の乖離がある場合に、割安な方を購入し、割高な方を売却して、この価格差が理論値まで戻った際に反対売買を行う取引。 HF06
イベント・ドリブン 個別企業の重要な出来事の結果に投資する運用戦略。M&A、会社分割、倒産、資本再構成、自社株買いなどの重大な取引イベントにより創出される投資機会に投資する。Event Driven。 HF07
インプライド・ボラティリティ ブラック・ショールズ・モデルなどのモデル式を使用して逆算されたボラティリティであり、今後の価格変動に対する市場参加者のコンセンサスを表す。Implied Volatility。 HF08
エクスポージャー あるポジションが市場でさらされているリスクの量あるいは大きさのこと。Exposure。 HF09
オフショア・ファンド 自国以外の地域で設立されたファンド。ヘッジ・ファンドは通常、タックス・ヘイブンで設立される。Offshore Fund。 HF10
オルタナティブ投資 株式や債券等伝統的資産以外への投資または先物・オプション等伝統的投資手法以外の手法を用いる投資。オルタナティブは代替の意味。オルタナティブ投資には、ヘッジファンドやプライベート・エクイティのほか、金や石油などの商品や不動産等の実物資産がある。Alternative Investment。 HF11
キャリー・トレード 例えばドルを借りてドルと逆相関性の強い、金や新興国市場等に投資することを指す。キャリーとはポジションを継続することで、短期資金の借り入れ等を継続することによって投資を継続するという意味。Carry Trade。 HF12
クレジット・デフォルト・スワップ 現物の有価証券を取引することなく、発行体の信用リスク(デフォルトリスク)のみを取引するデリバティブ契約(金融派生取引)のこと。CDS取引では、発行体の信用リスクに対する『保証(プロテクション)』が売買される。取引の内容としては、プロテクションの買い手(発行体の信用リスクを回避したい投資家)は、取引相手となるプロテクションの売り手に対し、対価(プレミアム)を支払う。発行体に破産、支払不履行等のクレジットイベントが発生した場合には、契約に定められた方法で決済が行われる。Credit Default Swap。 HF13
クレジット・トレーディング クレジット分析に基づいて、低格付け企業の発行する割安と判断された債券を買い建てし、割高と判断された債券を売り建てする運用。リスク低減のために幅広く分散投資される。Credit Trading。 HF14
クローズ 顧客の資金を受けないこと。ヘッジ・ファンドはその採用する運用戦略によって受け入れられる投資資金に限りがあるので、限度一杯になると新規顧客の資金を受けなくなる。こうした状態をクローズ中という。Close。 HF15
グローバル・マクロ 主にマクロ経済分析に基づくファンダメンタルズ・アプローチによって、グローバルな株式、金利、為替、商品等の市場の方向性を判断してリターンを狙う戦略。ジョージ・ソロスで有名。Global Macro。 HF16
ケイマン諸島 ヘッジ・ファンドの代表的な設立地。キューバの南のカリブ海に浮かぶ小島で、英国王室直轄植民地。タックス・ヘイブンの一つで、法規制がゆるいのが特徴。
「タックス・ヘイブン」参照)
HF17
ゲートキーパー ファンド・オブ・ファンズを運用するマネージャーを指す。ファンド・オブ・ファンズが投資する各ファンドを運用するマネージャーの選択や、各ファンドのパフォーマンス等についての投資家への情報提供、各ファンドの投資内容のモニタリングやファンド・オブ・ファンズ全体としてのリスク管理等を行う。Gatekeeper。 HF18
ショート 売り持ちすることまたは売り持ちした状態(ショート・ポジション)。Short。 HF19
ショート・バイアス ショート・ポジションに偏っていること。ショート・ポジションが投資元本の通常60%以上を構成しているセキュリテイ・セレクションを指す。Short Bias。 HF20
ストラテジー 運用戦略のこと。Strategy。 HF21
スピン・オフ 会社の一部門を切り離し独立させること。狭義では元の企業と関係が切れずに、元の企業のブランドや販売チャネルなどの資産を活用することができる場合を指す。新会社の株式を親会社の株式に割り当てる方式を指すこともある。Spin Off。 HF22
スペシャリスト・クレジット 有価証券の収益性に対する分析に基づいて、割安と判断される低格付け有価証券(通常は投資不適格証券)のロング・ポジション保有を収益の源泉とする運用。ディストレス証券など。Specialist Credit。 HF23
成功報酬 個別のヘッジ・ファンドは運用報酬として成功報酬制を採用するケースが多い。成功報酬率は通常、獲得した利益の20%もあり、かなり高い。 HF24
セキュリテイ・セレクション 株式のロングとショートの組み合わせにより、株式市場の変動に左右されない絶対リターンの確保を目標とする運用。ロングまたはショートにバイアスがかかった運用や、マーケット・ニュートラル運用がある。Security Selection。 HF25
セクター 生産物または市場が類似している企業群。金融、ヘルスケア、バイオテクノロジーなど。Sector。 HF26
ソフト・クローズ クローズと言った場合は完全に追加資金を受けないことを指すことが多いが、ソフト・クローズと言った場合は、新規顧客の資金のみクローズし、既存客の追加資金のみ受け付ける状態を指す。Soft Close。 HF27
タックス・ヘイブン 租税避難地。地域内にある企業に対して所得税、法人税などの課税を軽減ないし免税している特定の国や地域。ケイマン諸島、バミューダ島、ジャージー、ガンジー、ルクセンブルグ、ダブリンなど。ヘイブンは避難所。Tax Haven。 HF28
ディスクレショナリ・トレーディング 自己判断運用のこと。最終的な投資判断が運用者自身の自己判断で決定される運用。Discretionary Trading。 HF29
ディストレス証券 倒産に近い状態か既に倒産してしまった企業の発行する株式・転換社債・ワラント債・社債のロング・ポジション保有で、そのキャピタルゲインをリターンの源泉とする運用。Distressed Securities。 HF30
ディレクショナル・トレーディング 市場の方向性(上昇または下落)を、定量分析または定性分析に基づき予測し、同方向性と同じ方向にポジションを形成する投資戦略。グローバル・マクロやマネージド・フューチャーなどがある。Directional Trading。 HF31
ドローダウン 投資による損失の結果としての、純資産価額の下落額ないし下落率を指す。Drawdown。 HF32
ノー・バイアス ロング・ポジションとショート・ポジションの差が投資元本の通常25%以内を構成しているセキュリテイ・セレクション。通常はどちらかに若干バイアスがかかる。No Bias。 HF33
ハイウオーター・マーク 成功報酬の計算方式の一つで、ファンドの純資産価額(NAV)が過去のピークを上回った部分についてのみ、運用成果として認識して成功報酬を支払う方式。High Water Mark。 HF34
買収合併銘柄裁定取引 買収企業と被買収企業との現時点と将来の時点(買収成立時点)でのスプレッドの変動をリターンの源泉とする運用。通常は被買収企業ロングと買収企業ショートを組み合わせる。 HF35
ファンド・オブ・ファンズ 複数の投資信託(ファンド)に投資する投資信託。Fund of Funds。FoFと略する。複数のヘッジ・ファンドに投資するファンドはファンド・オブ・ヘッジ・ファンズFund of Hedge Fundsと呼ばれる。 HF36
ベーシス取引 国債を買う一方で、これに対応する先物を売る取引のこと。Basis Trades。 HF37
ヘッジ・ファンド 株式・債券・為替市場等で従来とは異なる非伝統的な手法で投資対象資産を組み合わせて運用する投資ファンドを指す。多様な金融技術を駆使して頻繁に金融取引を繰り返すのが特徴。一般的には、1.私募形式で募集され、2.富裕投資家層や機関投資家向けに提供され、3.レバレッジを利用して、4.ロング・ポジションとショート・ポジションを併用し、5.ファンドによっては大きなリスクを取り、6.絶対収益の獲得を目指し、7.成功報酬を徴収するファンドということになるが、必ずしもこれらに当てはまらないファンドも多い。ヘッジは損失を回避する手段を意味する。Hedge Fund。 HF38
ポジション ポートフォリオで保有する個々の持分。ロング・ポジション(買い持ち)とショート・ポジション(売り持ち)がある。Position。 HF39
ボラティリティ 基礎商品の価格変動の度合いのこと。過去の価格の変動から求めたものをヒストリカル・ボラティリティ(H.V.)といい、実際にオプション取引が成立した時のオプション価格から、ブラック・ショールズ・モデルに代表される理論式を用いて逆算したものをインプライド・ボラティリティ(I.V.)と言う。Volatility。 HF40
マーケット・ニュートラル投資 マーケット・ニュートラル戦略は、マーケット・リスクを中立化する一連の投資戦略のことで、実質的あるいは理論的に相関関係を有する複数の投資対象について相殺しあうロングとショートのポジションを持つこと。市場リターンの変動リスク(ベータ・リスク)を排除してアルファのみを収益源とする。Market Neutral。 HF41
マージャー・アービトラージ 企業の合併や買収(M&A)に関連して裁定取引を行うこと。Merger Arbitrage。 HF42
マネージド・フューチャーズ戦略 過去のトレンドや価格モメンタムに基づくモデルによって、グローバルな株式、金利、為替、商品等の市場の方向性をシステマティックに判断して、これらの先物市場に投資する戦略。フューチャーまたはフューチャーズは先物取引の意味。Managed Futures。 HF43
モンテカルロ・シミュレーション 将来起こりうる事象を確率分布として定義し、その確率分布に従った乱数を大量に発生させ、現実に起こりうる事象の実験を行う手法。モンテカルロはカジノがあるモナコ公国の町の名前。Monte Carlo Simulation。 HF44
レバレッジ 資金の借入れやデリバティブを利用して、投資元本を上回る規模のエクスポージャーを作り出すこと。例えばレバレッジが1.5倍と言えば、投資元本の1.5倍のエクスポージャーを持っている状態を指す。元々はてこの意味。Leverage。 HF45
レラティブ・バリュー 有価証券や商品をロングとショートすることにより、その価格差(価格スプレッド)の拡大・縮小を収益の源泉とする運用。債券アービトラージ、転換社債アービトラージなど各種の裁定取引がある。Relative Value。 HF46
ロング 買い持ちすることまたは買い持ちした状態(ロング・ポジション)。Long。 HF47
ロング/ショート戦略 実質的あるいは理論的に相関関係を有する複数の投資対象についてロングとショートのポジションを持って運用すること。マーケット・ニュートラル戦略と区別して使用する場合は、ロングとショートのどちらかにバイアスを持つ運用の意味。Long-Short。 HF48
ロング・バイアス ロング・ポジションに偏っていること。ロング・ポジションが投資元本の通常60%以上を構成しているセキュリテイ・セレクション。Long Bias。 HF49

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